ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション(DCO)とは何か?

ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション(DCO)という用語を聞いたことはありますか?。DCOの仕組みや、得られる成果についてご説明します。

ターゲット・オーディエンスに合わせてメッセージを出し分けると認知や行動につながりやすくなるということは、マーケターであれば既にご承知のことでしょう。しかし多くの企業は従来から、一種類で何にでも通用する万能型のメッセージに固執してきました。その原因となっていたのは、メディア(印刷媒体、テレビ、看板、チラシなど)の制約、クリエイティブ・リソースの不足、そして際限なく膨らむ制作費でした。

ダイナミック・クリエイティブを最適化するDCOが10年ほど前に登場した当初、このような状況は劇的に変化するかのように見えたものでした。しかし当初の熱が落ち着いてくると、DCOの実装や配信が期待していたような成果に結びつかず、うまく軌道に乗らなかったのです。しかし、そのような時代もようやく終焉を迎えました。

ここではDCOが広く採用されるようになった理由と、どのような成果が見込まれるかについて、ひも解いていきます。

ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション(DCO)とは?

DCOはプログラマティック広告の一種で、リアルタイム・テクノロジーを用いて広告クリエイティブを出し分け、パフォーマンスの最適化を可能にするものです。

DCOでは、エージェンシーがデジタルアセット管理システムのさまざまな広告コンポーネント(背景、メイン画像、テキスト、バリュー・プロポジション、CTAなど)を組み合わせます。クリエイティブには動画、アニメーション、ネイティブ・コンポーネント、インタラクティブ・エレメントなどを含めることができます。そして広告が表示されるユーザーにとって関連性のあるエレメント(要素)が、配信時にリアルタイムに組み合わされるのです。

DCOプロセスに含まれるのは、クリエイティブ開発、テストを行う変数の設定、最適化の目標設定、最適化の手法などです。テストの変数は、多変量テストのフレームワークでいくつものバリエーションが作られる広告クリエイティブのエレメントを表すもので、通常はグラフィック・エレメントやキャッチフレーズ、色、CTAなどを含みます。

最適化の目標設定は、初期のエンゲージメント、ユーザーのインタラクション(クリックやマウスオーバーなど)、KPI(登録者数、トライアル数、購入者数など)など、顧客ライフサイクルのあらゆる部分に関連させることができます。

ダイナミック・クリエイティブ(動的広告)と、スタティック・クリエイティブ(静止画広告)の違いは?

キャンペーン・クリエイティブの大半は、スタティック(静的)に最適化されています。数種類の広告クリエイティブをキャンペーン用に制作し、ターゲットを振り分けてA/Bテストを行い、パフォーマンスが良いクリエイティブを把握した後に、それを広く展開するのです。

このプロセスが抱える課題は、クリエイティブのパフォーマンスに大きな影響を与える重要な要素(たとえば時間帯や曜日、季節、天気、場所など)を、数多く見落としていることです。

クリエイティブを動的に最適化すると、キャンペーン用に数千もの広告を生成し、さまざまな条件(時間帯や曜日、季節、天気、場所、ブラウザでの行動など)に基づいて配信することができます。たとえば、ある街で雨が降っている場合には傘の広告を、そして晴れていれば日よけの広告を配信できるのです。

つまり、広告の最適化がより正確に行われるようになり、的確かつパフォーマンスに優れた配信を実現しやすくなるのです。

関連性の高いダイナミック・クリエイティブが正しく配信されるよう、クリムタンのプラットフォームは数多くのAPIと連携できる機能を備えています。さらに、クリエイティブのバリエーション数、配信やシーケンスのインプレッション数をベースにしたローテーションの頻度などをテストすることもできます。

DCOをどのように使うのか?

DCOが登場した当初は、主に小売業界や旅行業界で、高価値な顧客をリターゲティングするために使用されていました。両業界とも、在庫や商品の種類、旅の目的地の数が膨などが膨大で、広告の組み合わせも数千に及ぶため、DCOの恩恵を最初に享受したのがこれらの業界だったというのは納得がいきます。

しかしDCOが顧客のあらゆる段階、あらゆるライフサイクルで機能すること、そしてDCOをリターゲティング以上の目的でキャンペーンに活用できるということが、広告主の間で知られるようになりました。

広告主はこれまでもDCOキャンペーンを、ライフサイクルの進んだ段階(たとえばリターゲティングやロイヤリティープログラムなど)で使用してきましたが、最近ではライフサイクルのもっと早い段階(ファネルの上流)で、潜在顧客発掘や認知度向上のキャンペーンに活用し、成果を上げているのです。

今日の消費者は、複数の端末やデジタルメディアを介して、ブランドとの接点を持っています。そして、コンテンツにアクセスする際には常にパーソナライズされた体験を期待しています。商品・サービスを購入したばかりなのに、それに類似した商品の広告が表示されるということを、消費者は望んでいません。雨の日に日よけの広告が共感されるという可能性も、低いことでしょう。

その結果、ここ数年で広告ブロックが広く普及しました。モバイル端末やデスクトップ端末で広告ブロッカーを使う人数は、2019年末までに7億6,300万人に達しました。そして広告をブロックする人々の47%は、広告が迷惑だから、あるいは興味のない広告が配信されるからという理由でブロックしているのです。

DCOを活用すると、ユーザーの興味に沿った広告のタイムリーな配信が可能になります。たとえ広告主がユーザーについてほとんど知らなかったとしても、DCOは広告主の目的に応じた最高のパフォーマンスを実現するために、広告の組み合わせとして可能なものを全てアルゴリズムで評価し、最適なクリエイティブ・エレメントを配信できます。詳細なオーディエンス・データがあれば、DCOの利点を享受できるのです。

分析や、成果が出るまでの時間を、DCOはどのように短縮するのか?

複数のキャンペーンを同時に実行できるというのも、DCOの重要なメリットです。広範囲にわたる貴重なインサイトを得ることができるためです。マーケターは誰に対して何が効いたのかを簡単かつ正確に分析できるようになり、これがキャンペーンの戦略に優位性をもたらし、価値のあるフィードバックをより早く得られるようになるのです。

リーチ、スケール、パーソナライゼーション、スピード、そしてインサイトの詳細という強力なコンビネーションによって、DCOはとても簡単に利用できるものになりました。

つまりDCOによって広告主は、ユーザーとの関連性が高くて興味を引く、インサイトに基づいた広告体験を提供でき、エンゲージメントやパフォーマンスを向上させられるようになったのです。

DCOキャンペーンの成功事例

実際のDCOキャンペーンは、どのようなものになるのでしょうか? そしてどのような成果に結びつくのでしょうか? アブダビ文化観光局のパンデミック前の施策を例に、見ていきましょう。

アブダビ文化観光局からの依頼は、観光地としての認知度を英国とドイツで高めたいというものでした。6都市(デュッセルドルフ、ミュンヘン、ベルリン、フランクフルト、マンチェスター、ロンドン)の多忙で広告接触量が非常に多いオーディエンスに向けて、関連性のあるキーメッセージをDCOを使って届けるというのが課題でした。

まず6つのセグメントに向け、5,400種類以上の広告クリエイティブを生成しました。そしてダイナミック・オーディエンス・ターゲティングを使い、アブダビ文化観光局のコア・オーディエンスに合わせて広告のメッセージに変化をつけました。

6都市のオーディエンスにとって、アブダビの最大の魅力の一つは天気でした。そこで気象情報APIを活用し、オーディエンスが暮らす都市とアブダビの現在の天気との違いを広告内で強調しました。

このキャンペーンは、DCOの有効性を証明するものとなりました。広告のCTR(クリック率)はベンチマークCTRの数値を大きく上回り、ドイツでは3倍以上、英国では4倍以上という成果を出したのです。

さらに、ユーザーが予約した旅行の期間は他の観光地と比較すると34%長く、宿泊費用も35%高かったことは注目に値するでしょう。

広告の相乗効果によって、アブダビについての検索数も増加しました。4週間展開されたキャンペーンによって、ホテルについての検索数が7,000件増加し、フライト情報の検索数も6,600件増加したのです。

たとえ広告接触量が多いオーディエンスが対象であっても、DCOキャンペーンのプランニングと実装を巧みに行うことで、このような成果を見込むことができるのです。DCOの恩恵を享受し、優れたパフォーマンスを発揮するキャンペーンを、私たちはぜひお手伝いしたいと考えております。

DCO導入によってどのような成果を見込めそうか、詳しくはこちらからお問い合わせください。